日本人と外見【服装、髪型、身長】

日本人と外見【服装、髪型、身長】 日本の紹介 (外国人向け)
この記事について
この記事は日本に興味を持つ海外の方向けです。

「見た目が大事」という考え方は、程度の差こそあれ、どの文化にもあるのかもしれません。

日本を訪れた海外の方が、よく感じる感想のひとつとして、日本の男性がとても身だしなみに気を遣っていることに驚いた、というものがあります。

日本では「人は見た目が9割」(竹内 一郎 著)という本が、2005年に112万部のミリオンセラー(million seller)となりました。

今回は、外見にかかわる日本の文化について、私の意見を述べたいと思います。

なお、私はユニクロでしか服を買わないので、日本の若者の最先端のファッションについてはコメントできません。

服装

日本の文化や社会を論じるうえで欠かすことのできない要素である「同調性(Conformity)」については私の他の記事でも触れています。

この同調性は日本人のファッションにも大きく影響しており、多くの日本人が他人と大きく異なる服装をすることを気にして避けようとします。

「それではファッションは制服のようなものになってしまうではないか。日本ではみんなが同じ服を着て街を歩いているのか?なんて不思議な光景だろう」と怪訝に思った人もいるかもしれません。

しかし、現実はそうではありません。他の国と同様、一見すれば日本でも人々は個性豊かなファッションを楽しんでいるように見えます。

これは、ファッション業界が供給する安価な製品の多様さによってもたらされている面が大きい。実際には同じメーカーの服を着ていても、そう見えないという結果は、それを実現するための価値を提供せんとする企業努力と、日本の社会が要求する同調性に従いつつ自己表現を行うことを強いられてきた個人の着こなし術の相互作用によって、長い時間をかけて醸成されたものです。

同調性から逸脱すると、友人や恋人を得る機会を失ったり、就職の機会を失ったりすることもある。なぜなら、日本では、適合性に従えない相手と関係を深めることは、基本的に何のメリットもないと考えられているからです。

日本では、「たかがファッション」ではありません。それは紛れもなく、個人が同調主義に従順であるかどうかの重要な指標なのです。

日本では、同調性に従いつつ、その枠の中で個人がいかに個性を発揮するかが大きなテーマになっています。この点をまず理解する必要があります。

女性

ゴスロリ(Gothic & Lolita)やパンクファッション(Punk fashion)など、一部の確立された個性的なジャンルを除けば、日本の女性の多くは流行や季節に合わせて服を買う必要性を感じています。

それは具体的には「今年の秋はベージュ(beige)が流行る」「今年の冬はショートコート(short coats)が流行る」というような考え方です。

それらは主にファッション業界の策略であり、多くの女性が季節の変わり目に新しい服を購入します。これは、彼女らにとっては「去年の秋色を今年の秋に着るのは恥ずかしいことだ」という気持ちと受け止められます。

これは日本だけでなく、多くの文化圏で確認できる普遍的な事実かもしれませんが、彼女たちが気にしているのは、異性である男性からの視線や評価ではなく、同性である女性からの視線なのです。もちろん、彼女たちが男性から魅力的だと思われたいという願望を持っていることは否定できません。

しかし、日本には、男性が女性のファッションを流行によって厳しく批判したり、流行についていけないからと言って恋愛対象から外したりする文化はありません。日本の男性の多くは「女性に似合っているならば何でもいい」と思っているのではないでしょうか。

つまりここでは、女性同士の間で同調性が機能しています。ですので、この現象だけをみて「日本の女性は季節が変わるごとに熱心に服装に気を配っているが、彼女たちはそんなに男性にモテたいのか?日本人女性はずいぶんと恋愛に熱心なんだな」などと判断するのは間違いである可能性が高いということです。

男性

日本の男性は、女性のように最新のファッショントレンドを追いかけなければならないというプレッシャーは比較的、下がるといえます。これは、日本文化に強力に根付いている「男性が服装にこだわるのは男らしくない」という考え方が一因です。

日本の男性は、流行の色やコートの長さなど、女性が受けているような厳しい基準による圧力を感じることはほとんどありません。「シャツやポロシャツの裾はパンツに入れるべきか、それとも出すべきか」「今一番かっこいいショートパンツの丈は?」などといった単純なものです。

そして、その流行が変化するスピードは、女性のそれよりもずっと遅いのです。

しかし、後述するように、日本の男性はスーツを着て仕事をするべきだという強いプレッシャーがある文化があります。

就職活動と職場での服装

日本での就職活動の基本的な服装(日本企業が〔暗黙的に〕要求するもの)
日本での就職活動の基本的な服装(日本企業が〔暗黙的に〕要求するもの)

上の画像は、私の経験と、この記事を書くにあたって調べた結果から、日本での就職活動にふさわしいと思われる服装を表したものです。

驚きましたか?「いや、私の国はもっと細かいルールがあるぞ」という方はいますか?

まず読者に説明しなければならないのは、この図が示す「スタンダード」とは文字通りの意味ではなく、「~でなければならない」または「社会が要求する絶対的な条件」という意味となります。

「スタンダード」なら、それをベースに発展させて、自分の個性を主張する服を選べばいいじゃないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、日本ではそれは許されないことなのです。

日本人が「黒か紺が基本です」という看板を見たら、ほぼすべての日本人は “黒か紺しか着てはいけない” と理解します。

つまり、日本における就職活動では、外見の面で上記の「スタンダード」をすべて満たして、ようやくライバルと同じポジションに立てるのです。外見で個性を出そうなどと野心を持てば、就職活動では圧倒的に不利になります。

髪型

女性

他の文化圏でもそうかもしれませんが、日本では女性のヘアスタイルは男性のそれよりも多様です。彼女たちは自分の好み、理想、仕事上の必要性、あるいはパートナーからの要求に基づいてヘアスタイルを決めています。

ヘアカラー

ヘアカラー

2018年に全国理容生活衛生同業組合連合会が行った調査によると、日本では64%の女性が髪を染めていいます。全年齢対象なので、加齢による白髪を気にして染めている人も含まれますが、今の日本では半数以上の女性が髪を染めていることがわかります。

同調査では、20代女性の92%が、髪を染める目的を「おしゃれのため」と回答しています。

もしあなたが日本人の女性と付き合い、彼女に「髪を染めるのはやめてください。あなたの黒髪は素敵だと思います」とお願いしたいとする。 しかし彼女にとって、それは簡単な決断ではないかもしれない。それは、同性への同調性と厳しい評価の視線にどう対処するかという問題でもあるからです。

さらに、どうしても黒髪が似合わないといわれる顔のタイプがあり、そのような顔の女性にとって髪を明るい色に染めることは、外見の美しさを実現するための重要な手段であると考えられているという事情もあります。

男性

男性のヘアスタイルは、女性ほど多様ではない面があります。男性の髪の色や長さは控えめになる傾向があり、会社によっては社員のスキンヘッドや長髪を禁止しているところもあります。

仕事以外の私生活でも、そうしたヘアスタイルは同調性から逸脱した極端な個性と受け止められ、こんな質問を受けることが多い。

「なぜ、スキンヘッドにしているの?」
「どうして長髪(ロン毛)にしてるの?」

初対面であっても、このような質問をされることは少なくないのです。

日本人男性のもう一つの深刻な悩みが「ハゲ」です。ハゲについては、以下の記事をご覧ください。

現在の日本では、肌の色は白に近いほど美しいと認識されています。これは美意識だけでなく、紫外線が健康に与える悪影響への意識が高まっていることが背景にあります。そのため、極端に日焼けした肌はあまり見られません。男性の場合はよく日焼けした肌はプレイボーイ(Playboy lifestyle)のアイコンでもあります。

ヒゲ(ひげ)

ヒゲをそっている男性

海外、特に欧米では、若い男性が大人っぽく見せるためにヒゲを生やすのは一般的ですが、日本の文化では一般的にヒゲは嫌われます。その理由は、大きく2つあると言われています。

1つは、日本の文化では、ヒゲは社会的地位の高さを示すという考え方があることです。これは特に年配の日本人に強いようです。これは、日本が急速に近代化した19世紀から20世紀初頭の歴史上の人物たちの文化が主な原因だと考えられています。

簡単に言えば、社会的地位が高くなく、まだ何も知らない若者がヒゲを生やすのは生意気だ、というこ考え方です。

次に、日本の文化では、ヒゲは「ちゃんと働いていない人」の象徴でもあります。このイメージは、それほど昔からあるわけではありませんが、日本が高度経済成長期にあった1970年代ごろから生まれたようです。このイメージは、最初の考えと矛盾するようですが、日本ではこの2つの概念が共存しているのです。

身長

2018年の政府統計によると、日本人の全年齢の平均身長は、男性が162cm(5.3フィート)、女性が150cm(4フィート)となっています。年齢別では、例として25歳男性の平均身長は173cm(5.67フィート)、25歳女性の身長は161cm(5.28フィート)です。

全年齢の平均が低いのは、栄養状態が今ほど良くなかった時代の人々が含まれているためです。高齢者の中には、身長が150cm以下の人も少なからず存在します。

男性

私は高度な教育を受けてきたとは言えませんので、男性の低身長が賞賛される文化が世界に存在するかどうかは知りません。おそらくほとんどすべての文化において、男性の身長は、ファッションとしてだけでなく、動物としての強さの表現として、生活のさまざまな側面でむしろ肯定的な意味を持っていまると思います。

これは日本でも同じで、背が低いということは、多くの男性にとって根本的な劣等感です。

たとえ話ですが、あなたが日本に住んでいて、ある日本人と親しくなり、恋人になりたいと懇願されたけれども、彼の身長が自分より低いので恋愛対象として選ぶことができなかったとします。

そんなときでも「あなたの方が背が低いから断ります 」と率直に言うのは得策ではありません。男性は一生克服できないトラウマ(trauma)を抱え込むことになりかねません。この場合は、適当な言い訳を考えておくとよいでしょう。日本では「他に好きな人がいます」というのが定番の断り方です。

女性

女性の背の高さは、もしかしたら身長が低い男性の悩みより深刻かもしれません。日本では一般的に、女性は170cm(5.57フィート)を超えると高身長と認識される傾向があります。小柄な女性同様、恋愛相手も自分より背の高い人を選びたいわけですが、背の高い男性が必ずしも背の高い女性を選ぶとは限らず、背の低い男性は自分より背の高い女性を避ける傾向にあります。

その結果、背の高い女性は恋愛相手を見つけるのが難しくなる。しかし、これは日本以外の多くの文化圏でも同じではないでしょうか。

しかし、他の記事でも紹介したように、日本では女性よりも男性にかかる社会的圧力が強い傾向にあります。つまり、男性は恥をかかないように常に緊張を強いられているといえます。

このような社会的背景から、背の高い女性は背の低い男性と一緒に歩いて、自分を大きな女性に見せることを恐れるのではなく、むしろ相手の男性の面目をつぶすことを心配するのです。ある種の優しさ、思いやりかもしれません。

私の知っている背の高い女性たちは、少しでも背を低く見せようとするためか、猫背になっている人が多い。また、思春期の頃から他人に気を遣って過ごしてきたせいか、とても思いやりのある人が多いように感じます。

おわりに

今回は、海外の人から「日本人は身だしなみに気を遣っている」と思われていることについて、私の意見を述べました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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