慢性疲労と発達障害に関係があることは、現在のところあまり情報がない。
今回の記事では、発達障害の当事者である僕が抱えている慢性疲労について書きたいと思う。すでに自身が発達障害であることを自覚している人だけでなく、僕と同じように、自分が発達障害だと気付かず謎の慢性疲労に長く悩んでいる人のヒントになれば幸いだ。
慢性疲労
僕が発達障害と診断されたのは47歳のときだったが、それまでずっと、自分は慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome、《以後、CFSと書く》)なのだと考えていた。考えていた、というのは、日本全国を見渡しても慢性疲労症候群を診断できる専門病院の数は少なく、僕が住んでいた地域では通院することが難しいため正式な診断を受けることができず、あくまで自分でそう思っていた、ということだ。
CFSはとてもやっかいで、専門病院以外で相談したとしても、言い方は悪いがまともに取りあってくれないことも多々ある。これはなにも医師の怠慢や悪意などではなく、まだまだ定義が不十分で厚生労働省も認めていないようなよくわからない症候群に対して科学者としてどのように向き合うのかという問題だと思う。
僕の慢性疲労の症状はこんな感じだ。こういうことが不定期に起こる。
- 立っているのが困難なほどの疲労感(眠いのとは違う)
- 眼窩まわりの重い感じ
- 首、僧帽筋、大胸筋などの筋肉の痛み
- 胸のあたりのよくわからない部位の痛み
- 脚のつけ根の痛み
こうした問題が仕事やプライベートに多大な影響を与えることは言うまでもないだろう。
発達障害による過緊張
自分が発達障害だと診断を受けてから、積極的に発達障害について調べるようになった。同じ問題を抱える当事者の人たちの声もたくさん触れた。そして多くの人が「疲れやすい」ことに悩んでいることを知った。そして自分の慢性疲労もCFSではなく発達障害によるものだと考えるようになった。
ではなぜ発達障害者は疲れやすいのだろうか。
それは常に緊張をしている(過緊張)からだという意見が多数派で、これは僕も完全に同意する。
僕はASD傾向もあるので、人の話を集中して聞いたりしているときは無表情でかなり怖い顔になってしまうのだが、こうしたときも顔面だけでなく身体のいろんな箇所が緊張してしまっているのだ。
慢性疲労の対策 – 緊張をゆるめてやる
漸進的筋弛緩法
漸進的筋弛緩法(Progressive muscle relaxation、略称:PMR)はとても手軽にどこでもできるおすすめの方法だ。リラックス効果に加えていわゆるメタ認知能力を高める効果もあると思う。
やり方は簡単で、全身に力を入れてから一気に抜くだけ。
僕が個人的に注意点としておきたいのは、決して歯を食いしばらないことだ。全身に力を入れるとついつい歯を食いしばりたくなるが、これは歯によくない。PMRを行うたびに歯を食いしばっていたのでは歯へのダメージは軽視できないものになる。だから僕は口を半引きにした状態でPMRを行うようにしている。
全身に力を入れてから一気に力を抜くと、それだけでリラックスした感覚が得られたと思う。だがPMRの効果はそれだけではなく「リラックスした身体の状態を自覚して記憶する」ことにもあり、むしろこちらのほうが本命と言ってもいい。
PRMを頻繁にやっていると、リラックした状態との差異に敏感に気付けるようになる。たとえば「あ、今は目の下あたりが緊張しているな」と言った具合だ。そういう自身の状態に気づいたならば、その部分の緊張をゆるめてやればいい。
とにかく疲れやすく活動可能時間が短くなりがちな発達障害者だが、この「気づき、ゆるめる」ことができるようになれば、アクティブに動ける時間も伸ばせるようになる。